※これは映画「ニュー・シネマ・パラダイス」中の挿入話にヒントを得て書いたお話です
by Yumi (2019)
前回までのお話はこちらから → 椅子から去った王子
あらすじ
ある国にとても美しい王女がいて、窓の下の椅子に100日間すわることが出来た者と結婚すると言いました。たくさんの王子が挑戦し、失敗。最後に登場したワタリガラスの王子は最長の記録を塗り替えました!
4
馬上試合
90日が過ぎました。
あと、10日。
91日目の朝には、お城のラッパ吹きが天守に上がり、ラッパをふいて、告げ知らせました。
プッププー!
「本日、91日目なぁり!」
だれもがワタリガラスの王子が椅子にすわり通して、見事、王女を手に入れるように思えました。
「こいつはいいぞ!」
次の日の朝にも、プッププー!
「本日、92日目なぁり!」と、ラッパ吹き。
王様はごきげんです。
「国中に『馬上試合をもよおす』とふれを出せ」
王様の命令はすぐに国中に伝えられました。
すると、馬上試合に参加するために、うでにおぼえのある騎士たちが続々とお城に集まって来ました。
ワタリガラスの王子のかたわらで、はなやかな馬上試合が始まりました。
きらびやかなよろいかぶとを身に着けた騎士たちが、試合場の両はしから、やりを構えて、パッパカ、馬を走らせます。
真ん中まで来ると、互いに相手を馬から突き落とそうと、やりでつきあいます。
ガツン! ドシャン!
やりが折れたり、たてがくだけたり、そりゃもう、はげしいぶつかり合いです。
馬から落ちると、今度は剣で戦います。
ガシャン! ガシャン!
どちらかがたおれて動けなくなるまで、試合は続くのです。
王様はきれいなご婦人方とさじきにすわり、試合を見ながら飲んだり、食べたり。
ご婦人たちもごひいきの騎士にハンカチをふっての応援です。
「私の騎士殿はだれよりお強いわ」
「いえ、私の騎士様が一番よ」
町や村から集まって来た人々も、めったにないこのすばらしい見世物に、すっかり、こうふんして、やんやのかっさいです。
「えー、水はいかが? 冷たい、おいしい井戸水だよ!」
「とりのあぶり焼きだよ! 今朝しめたばかりの、おれんちのとり!」
見物客を目当ての物売りのテントも、どんどん、ふえていきました。
その間、ワタリガラスの王子は死ぬほど疲れた体を必死で起こしていました。
気を失って転げ落ちないように椅子をつかんでいましたが、その手もぶるぶるふるえています。
でも、だれも、そんな王子を気にかける人はいませんでした。
騒々しい一日の終わると、王様は、はるばる試合におとずれた騎士たちに黄金のうで輪だの、ピカピカのよろいかぶとだのをプレゼントして言いました。
「わが王女とワタリガラスの王子とがあと数日で結婚することになろう。みな、祝ってくれ」
次回へつづく
※これは2019年に絵本・童話の創作Online「新作の嵐」」に掲載されたものを若干修正したものです。
「新作の嵐」へはこちらから→https://shinsakunoarashi.com/%e3%81%84%e3%81%99%e3%81%8b%e3%82%89%e5%8e%bb%e3%81%a3%e3%81%9f%e7%8e%8b%e5%ad%901-7/
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