アオムシくんのおれい

文 Yumi  絵 Hikaru

秋です。

みおは、一人でおさんぽです。

「うわあ、お空、まっ青!」

お日さまが、ぴかぴか、わらっています。

ところが、

「たいへんだ! たいへんだ!」

だれかが、わさわさ、道を、わたって行くではありませんか。

とびきり大きなアオムシでした。

「どうしたの?」

みおは聞きました。

「ぼくが住んでいたトマトの木を、家の人が、切っちゃったんだ!」

アオムシが、なきながら、言いました。

「早く、どこかにかくれないと、鳥に見つかって、食べられちゃう!」

みおは、アオムシ が、

かわそうになりました。

「じゃ、あたしんちに来る?」

アオムシは、くるんと、みおを見上げました。

「ほんと? きみんち、なっぱとか、ある?」

「うん。れいぞうこにサラダがあるよ」

みおは、そっと、手を出して、アオムシをのせてあげました。

パリ、パリパリ、パリパリパリ・・・。

アオムシの食べること、食べること! 

たちまち、サラダを、ぜんぶ、食べてしまいました。

「ごちそうさま! 

ところで、きみんちには、ぼくが春までねむれるばしょ、ある?」

みおは、くびをふりました。

「ううん。ベランダのお花は、とっくに、かれてるの」

「そうか。こまったな・・・」

アオムシは、また、かなしそうになりました。

「そうだ、近くの公園になら、まだ、いっぱい、お花がさいているよ」

みおは、ころころになったアオムシを、公園にはこんであげました。

イチョウのはっぱが、金色です。

モミジも、まっ赤に、もえています。

「ここがいいかな?」

みおは、かだんの、ケイトウのはっぱの上に、アオムシをおろしてあげました。

「どう、気にいった?」

「うん、さいこう! ここなら、おちついて、ぐっすりねむれるよ」

その時、

「何してるんだい、みおちゃん?」

と、後ろで、男の子の声がしました。

「あ、けんちゃん! 何でもない! 何でもないよ!」

みおは、あわてて、アオムシをかくしました。

(いたずらされたら、どうしよう)

と、思ったのです。

「何だ、つまんないの」

男の子は、行ってしまいました。

「ああ、びっくりした。もう だいじょうぶよ、アオムシくん」

「ありがとう、みおちゃん。春まで、さようなら」

アオムシは、小さく、手をふりました。

冬になりました。

まどの外では、雪がふっています。

「アオムシくん、だいじょうぶかな・・・」

みおは、しんぱいでたまりません。

「そうだ、こんちゅうずかんで、しらべてみようっと」

ずかんには、

「アオムシは、サナギになって、冬を、あたたかく、こします」

と、書いてありました。

「ふうん。サナギのおうちは、あたたかいのか・・・」

みおは、ちょっぴり、あんしんしました。

「春になったら、会いに行こうっと」

さむい冬が終わり、みおのベランダにも、お花がさきはじめました。

「アオムシくん、目をさましたかな?」

みおは、るんるん、公園に出かけました。

「あ、ケイトウがなくなっている!」

かだんは、すっかり、うえかえられていたのです。

「アオムシくん、しんじゃったのかな・・・」

みおは、しょんぼり、うつむきました。

でも、何日かして、みおに、こづつみがとどきました。

「わあ、アオムシくんからだ!」

中には、スミレのカップいっぱいに、金色の花のみつが入っていました。

「お手紙もある」

手紙には、こう、書いてありました。

「 み お さ ま

た す け て く れ て

   あ り が と う。

こ れ は  

   ぼ く の あ つ め た 

は な の  み つ で す。

  ど う ぞ  め し あ が れ。

      あ お む し 」

みおは、みつをなめてみました。

「あまーい!」

ほんとに、おいしい花のみつです。

「アオムシくん、チョウチョになれたんだ。

よかったね」

みおは、チョウチョになったアオムシくんに、きっと、会いに行こうと、思うのでした。

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“アオムシくんのおれい”. への1件のコメント

  1. […] アオムシくんのおれい これまでで一番の出来。絵本にしようかな?♥ […]

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