せかいいちのやま

え Hikaru   ぶん Yumi

かどをまがると、おもいがけないけしきに

であうことがあります。

うさは サンダルをつっかけて

コンビニにでかけました。

「ぎゅうにゅう、ぎゅうにゅうっと」

かどをまがれば、いつものコンビニがあるはず。

でも、

「あれ! ここ、どこだろう???」

そこは、たんぼのどまんなか。

ぐーんと、そびえる、たかいやま。

たんぼではたらいているおじさんが、

あれはせかいいちのやまだよ。

てっぺんでは、ほしがつかめるんだ。

おおおきな ダイヤモンドだって はなしだよ」

と、おしえてくれました。

「へえ、すごい。

でも、わたし、うさのまちにかえりたいの。

ぎゅうにゅうを かわなくっちゃ ならないの」

「それなら、とざんぐちから のぼっていきなさい。

みちみち、ひょうしきがあるからね。

そのとおりに すすむといいよ。

だが、くれぐれも、みちをまちがえちゃだめだぞ。

そのかっこうじゃ、ふゆやまはむりだからなあ」

おじさんに おれいをいって、やまをのぼっていくと、

そこは いちめんのおはなばたけ。

ひょうしきがあります。

[ここより はるのやま

くまさんがいました。

「こんにちは、くまさん」

「やあ、ちょうじょうへいくのかい?

 てっぺんではほしがつかめるんだよ。

 あまい、コンペイトウなんだって」

「ううん、わたし、うさのまちにかえるの。

 ぎゅうにゅう、かわなくちゃ」

「そう。でも、ちょっとあそんでいかないかい?」

「じゃあ、ちょっとだけ」

くまさんは ハチミツを ごちそうしてくれました。

ハチミツをおみやげにもらって、

またしばらくいくと、

べつのひょうしきがありました。

ここより、なつのやま

そこは、こんもり、もりのなか。

セミが、ジージー、ないています。

ザーザー、かわもうたっています。

「あ、たきがある」

すずしいかわを ピョンピョン、のぼっていくと…。

「あ、みずうみだ」

すんだみずのそこから、

きれいなおんなのこが あらわれました。

「わたしは みずうみのせいよ。

あなた、おほしさま、とりにいくの?

うまくとれたら、まほうつかいになれるわよ」

「ううん、わたし、うさのまちにかえるの。

ぎゅうにゅう、かわなくちゃ」

「そう、でも、ちょっと、やすんでいらっしゃいな」

みずのせいは、のこりゆきで シャーベットをこしらえてくれました。

おみやげのハチミツをかけて、 ふたりで たべました。

「あまーい。つめたーい」

みずのせいにさよならして、またいくと…。

ここより あきのやま

ススキのはらで、キツネのおやこが あそんでいます。

「やあ、うさぎさん、おほしさんを とりにいくんでしょ?

きれいなビーだまだったら、ちょうだいね」

「ううん、わたし、うさのまちに かえるところなの。

でも、ちょっとだけ、あそんでいこうかな」

うさは キツネたちと、かくれんぼして あそびました。

「じゃあね、ばいばい、きつねさんたち」

キツネたちは おみやげに ブドウをくれました。

「ああ、たのしかった。

 でも、くたびれちゃったな」

そろそろ、ひがくれようとしています。

「かえりみち、まだかなあ」

と、そのとき、わかれみちにでました。

ひょうしきが ふたつ、ならんでいます。

 こちら、ふゆやま

 こちら、うさのまち

でも、やじるしがよくみえません。

「どっちへいけば いいんだろう?」

うさは、おもいきって、みぎのみちにふみだしました。

とたんに、あしが、ずぼっと、ゆきにつっこみました。

「しまった、まちがえた!」

そこは よる。

ふりかえっても、もどるみちはありません。

あるのは ちょうじょうのひょうしきと、

そこから、まっすぐのびる はしごばかり。

はしごは ひときわおおきなほしまで とどいています。

「これをのぼったら、あのほしが つかめるのね」

けれども、なんてひどいさむさでしょう。

うさは、ブルブルふるえて さけびました。

「わたし、ほしなんて いらないわ!

うさのまちにかえりたい!」

きがつくと、うさはコンビニのまえに たっていました。

まだかじかみながら、ぎゅうにゅうをかって、

かえるみちみち、うさは かんがえました。

「あのほしはなんだったのかなあ?」

おおきなダイヤモンド?

あまーいコンペイトウ?

どんなねがいごとも かなえてくれる まほうのほし?

それとも、ただのきれいなビーだま?

「がんばって、はしごを のぼればよかったかなあ」

「いやいや」と うさはおもいます。

「そんなことをしたら、わたし、いまごろ、

ゆきうさぎになっていたわ」

うさは くすくすわらいました。

そして、いまは いえにかえって、

このぎゅうにゅうで 

あたたかいココアをわかして のめることが

なによりうれしいと おもうのでした。

おしまい

「せかいいちのやま」が絵本になりました!

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